似ている、とちょっとびっくりした。5月9日BSテレ東でいわさきちひろの番組があった。松本春野(はるの)さん、絵本作家、いわさきちひろの孫娘である。白黒写真で見慣れてるいわさきちひろ、と笑顔がそっくりでは、と思った。才能は隔世遺伝した。練馬区の旧居美術館、長野県安曇野の美術館にも行った。写真は7歳年下の松本善明氏と。私の好きなツーショット、別次元の才能あるご夫婦へのあこがれがある。自伝やご子息による紹介本は多く出ており、お二人の波乱の経歴について下手な解説は省略する。政治的立場に異見はあっても、ちひろの子供絵には万人が魅了される。
結婚相手を選ぶには、わがまま利己主義が許される(とか)。ある仲のよいご夫婦。婚約中の奥様の前に昔の恋人が出現した。彼女は婚約破棄、今の旦那様と結婚した。制御不能の怒涛があるから、その後の雨や嵐を二人で乗り越えられる。夏目漱石「こころ」、友情がからむ男二人の自死は重苦しい。ちひろの前夫は自死。結婚は(芸術も)甘美で恐ろしい。二人だけの結婚式、戦後の焼け跡、神田のブリキ屋さんの二階の部屋を飾るに「千円の大金をぜんぶ花にしてしまったのです。」「あとは、ぶどう酒一本ときれいなワイングラス二つ、」四面楚歌の出発。優しい絵の裏には生涯消せない罪の意識があったのではなかろうか。ちひろの罪ではない。陋習の犠牲者、前夫もまた。
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