盛り上がり アクリル板を 横ずらし 偏人
パソコンの トラブルが縁 仲よしに 偏人
隠れてる コロナ出て来い 出て来るな 偏人
11月9日(火)瀬戸内寂聴さんが99歳で逝去された。新聞テレビそしてネットも賛美一色報道である。既に肉体としては遺骨となった瀬戸内さんだがこのブーム一過性はお見通しでご本人が苦笑いだろう。大型書店の店頭は売らんかなの旧刊を増す刷り平積みと思う。私は瀬戸内さんに会っていない。51歳で出家、天台宗とか。「忘己利他」(もう懲りたじゃないよ)など教義は知らない。感動したって自分が実践していないなら意味がない。世の中は難しい言葉は知らなくても無言で実行している多くの人々によって動かされている。嵯峨野巡りで寂庵の門前に立ったことがある。以下は「読んだ話」「聞いた話」の一端である。
時々の話題作や源氏物語の現代語訳はなんだかおもしろくなさそうで読んでいない。新聞に連載された文壇人を中心にした人物評論は楽しく読んだ。ここまでばらしていいものかという内輪物に興味深々。戦前の北京で人力車に乗った日本人がふんぞり返り、中国人車夫の頭を蹴って行き先を伝えるのを目撃した。そんな日本人の振る舞いと現代を重ね合わせる。私の親祖父の大陸体験と符合する。良い戦争も悪い戦争もない戦争は絶対悪だとの信条。93歳車椅子で国会前の集会へ。安保法制、集団的自衛権でアメリカ参戦に日本も参戦の仕組み。
恋愛は雷が落ちて来ること人を好きになるのに理由はないと語った。瀬戸内さんはダメ男不良イケメン年下に入れ込んだ。25歳で夫の教え子と駆け落ち3歳の娘を捨てた。罪を犯した自分は幸せになってはいけないと涙を浮かべたが幸せ人生だった。その後も男行脚、不倫があった。11月15日(月)浄土真宗のお坊さんと6人車座でトーク。「瀬戸内さんは嫌いです」と住職はつぶやく。一方的な法話拝聴でなく双方向で感想や意見を述べ合うのはいい。
身辺雑記の寄稿文は最後までみずみずしかった。画才、書道才、工芸才などで老齢だから下手になったとは聞かない。異性への関心の強さ、色気のエネルギー、芸術の根底は灰になるまで。政治的にはぶれず知的に柔軟に一貫して日本共産党への支持を吹聴しながら、ウルトラ右翼国家主義者石原慎太郎さんと疑似恋文の往復書簡(雑誌)、画家横尾忠則さんとの往復書簡を続けた(週刊誌)。キムタク木村拓哉ファンも色気男好き性向の一環。デジタル機器やネット発信にも熱心だった。年齢は関係ないことをやってみせた。墓碑に刻まれる遺言「愛した 書いた 祈った」はよくできていると思う。寂聴さんについては次号へ続く。
備忘録
御岳渓谷のライブ配信で紅葉の見ごろを探る、11月16日(火)新宿から青梅へ。青梅駅で弁当、ビール、氷、ウィスキーの小瓶、澤乃井(地元酒)を調達。清流の轟音を聞きながら川中の岩石に登って一人酒盛り。この世も終点近く燃える秋に酔った。帰路軍畑(いくさばた)駅の急坂。酔っぱらっての岩場は危なかったなあ。渓谷レポート写真は次号へ続く。
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