広い公園に囲われた区画、テーブルに資料を広げて書き物をしている女性。何かの追い込み中だろう。開園時間に直行し、ソーシャルディスタンスだから、誰も横に座らない、占有をとがめない。
中学時代から、詩歌には関心があったが、自分では作らなかった。70代になって同世代の川柳句会に入った。五七五、定型韻律の短詩である。季語は要らない。「愛とユーモア」が本質とか。愛もユーモアも知らないけれど。
ハーモニカ 赤子泣きやみ 音を見る 靜洋
友人の句、赤子が泣き止まない、作者はお身体が不自由、とっさにハーモニカであやす、音にはまだ感じないが見ることで、泣き止んだ。「音を見る」が発見。
孫がかわいいのは当たり前、わざわざ作句で他に披露することではないとされる。書かなくてもお孫さんと知れる。その省略の余韻、美学。上句五は字余りでもよい、中の七は字数を守る。川柳はモロでない感情の整えである。
罪ほろぼし、の句題で80代男性の句
詫びながら 墓の草刈る 里帰り 博良
作者は満州引き揚げ、「なにかの親不孝」を後悔してる心境ですか、と聞いたら、御父母様は満州で逝去され、幼年一人帰国したとのこと。語らぬ80余年は想像するしかない。
最後に私の句
認知症 先が勝ちねと 妻が云い 偏人
年寄り男性によくある自虐ネタ、加齢症状を笑う、政権風刺、語呂合わせ、諧謔、技法的なことはいろいろあるが、上手く作ろうと意識がたてば品が落ちる。穿ち(うがち、発見)目のつけどころに個性が出るのではなかろうか。うっかり見落としている、気づいていないささいな日常、心理の揺れを。川柳はプロより素人に、女性、若者、児童にも向いている。99の駄作のうえに、1つでも印象に残ればいいと自己満足。
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